一本釣り名人漁師の仕掛け 
甲イカ類の釣り方
[豊後水道西部にて資料収集]

紋甲イカ            コブイカ

概要 墨イカ類である紋甲イカ(カミナリイカ)とコブイカ(スミイカ)。ポイントは広く、水深30mから100mを超す砂泥地を住処とする。

 生息域は広く、海原全体がポイントと言っても過言ではない。しかし、餌となる小魚や甲殻類が多くて、身を隠すことのできる砂質であり、自分を襲う天敵の少ない場所が優良ポイントとなる。
 豊後水道では11月から春4月にかけてが釣季だが、地無垢島の西側海域では5月まで釣れ続く。
コブイカと紋甲イカを比較すると絶対量はコブイカが多く、春先には500g程度の成魚となる。又、紋甲イカは同じ頃には1sクラスとなり2s近くに成長するのもいる。
双方の甲イカは混漁されることも多いが、それぞれに多く居付くポイントが形成される。好ポイントを選んで釣行するのが基本となるが、潮流の向きや速さを考慮しないと釣果は上がらない。

 津久見湾では、白石灯台&無垢島&保戸島で囲まれた海域にコブイカを主体に甲イカが多い。尚、このポイントの北西に当たる臼杵湾にも好ポイントが形成される。
ポイントの大半が水深45m〜60mであるが、紋甲イカが多いのは60m〜80m、その殆どの海域が根掛りの無いポイントであり、適宜な潮流なので釣りやすい。
尚、保戸島沖合いや釜戸崎沖合いなどの豊後水道本流域では、大型紋甲イカ主体の好ポイントが形成されるが水深は80m〜90m以上と深い。漁師はビシマ釣りで狙うが、電動リールの使用をお勧めしたい。

※ 潮帆(パラシュートアンカー)を入れて釣りをする釣り船が多いが、優良ポイントが狭く形成されている時にはテンテンボ(スパンカー)立てて狙うと、甲イカの多い狭いポイントを集中的に狙えるから釣果があがる。
※ コブイカ=スミイカ  ※ キンコウイカ=紋甲イカ

 砂泥地を住処とするコブイカや紋甲イカの成長は早く、初夏に沿岸の砂泥地で生まれた幼魚は晩秋には餌木を追うサイズに成長し、酷寒の頃にはコブイカの太い個体は500g、紋甲イカは1.5s物も見られる・・・尚、晩春から初夏には産卵して短い一生を終える。




[活きアジ掛け・コブイカ釣り]
(豊後水道・津久見市F漁港 M・N漁師の仕掛け
 
 ハリスは7号〜8号使用。錘は使用せずに鉛スッテ30〜50号を使用する。
 70cm上に短い枝ハリスで{モイカアジ掛け仕掛け}を付ける。
 瀬際を釣行する場合は、鉛錘を使用して錘元にトトスッテ1本と70cm程上に{モイカアジ掛け仕掛け}を付ける。
 瀬際を狙うと大きな{赤いコブイカ}が多くいる。モイカや大ホゴも食い付く。
 キンコウイカが途中で外れる場合には、傘鈎が大きく鈎数の多いものに変える。
 アジを巻いた「引き落とし」仕掛けでやると抜群に食いがいい。スッテのみ使用時より倍以上の釣果がある。
 エソが多いとアジに食い付くから釣りづらい。


[紋甲イカ・コブイカの鉛スッテ釣り
(豊後水道・津久見市F漁港 M・N漁師の仕掛け
 ビシテグス14号を使用する。
 ハリスは7号〜8号を使用。錘は使用せず、水深により鉛スッテ30〜50号を使用する。※ 50m水深では30号スッテでいい。
 60cm上に、数cmの短い枝ハリスで甲イカ用3号浮きスッテを1本だけ付ける。
 鉛スッテは着底時に海底で立つように、大きな傘鈎で重心を低く作成する・・・尚、全ての鈎先を指先で触り、鋭敏でない鈎先にはヤスリ掛けしておく。
 鉛スッテで海底を探る要領で小さく甲イカを誘う。
 パラシュートアンカーやスパンカーを使用し、仕掛けが垂直に立つように操船して潮流に乗せながらポイントを流下させる。尚、潮流に動きが無い時は、仕掛けが甲イカポイントを移動しないから釣果は期待できない。
 甲イカが抱くと、若干の重さを感じる・・・その時に思い切り合わせ動作をする。
 紋甲イカが掛かった時には船際ですくい獲ること。



甲イカ用の鉛スッテは、大きな鈎を数多く付ける
鉛スッテは着底時に海底で立つように重心を低く作成・・・海底を探りながら甲イカを誘う

 
[コブイカ・キンコウイカ釣り]
(豊後水道・津久見市保戸島・四浦半島の漁師仕掛け)
 ビシテグス14号を使用し、ハリスは7号〜8号使用。錘は使用せずに鉛スッテ30〜50号を使用する。
 鉛スッテの35cm上に「浮きスッテ」を1本だけ付ける(四浦一本釣り漁師)。
 鉛スッテの70cm上に「浮きスッテ」を1本だけ付ける(一本釣りM漁師)。
 夏から秋にかけてトラフグの多い年は「餌の小魚群が多い」証拠であり、コブイカやキンコウイカ等のイカ類も多く大きい。
 キンコウイカは身が柔らかいので、鈎が多くないと釣り揚げ途中に身が切れて外れる。
 仲間のキンコウイカが船際まで追って来る場合は、キンコウイカの群の中であるから、直ぐに仕掛けを投入すれば食い付く。
 錘や釣れたコブイカに抱き付いた時は「すくい捕り」も可能だ。
 2〜3手素早く手繰る感じで、早く手を動かす程良く食い付く(KY漁師)。
 コブイカやキンコウイカは、スッテを真上から抱くので横曳きするがいい(H漁師)。
 無垢島の飼付鼻の深場では6月までコブイカが釣れる。
 8号トトヤマ・40匁鉛スッテがいい(NT名人)。


冬から春にかけて釣れるコブイカ&紋甲イカ・2010・3・12
[コブイカ・キンコウイカ釣り]
(豊後水道・津久見市保戸島・四浦半島の漁師仕掛け)
 鉛スッテは使用せず、錘の上に桐材で作成した「布巻き浮きスッテ」を一つだけ使用。
 鈎は二股コブ釣り鈎12号を複数巻き付ける。
 鈎数は12〜20本程だ。
 玉鉛の30匁〜40匁物使用し、35cm上にコブ用の浮きスッテ1個を付ける。
 ハリスは8号を数尋使用する。
 キンコウイカを専門に狙うには、鉛スッテのみとし、浮きスッテは付けない方がいい。


[キンコウイカ釣り仕掛け]
(豊後水道・津久見市四浦半島・H丸漁師の仕掛け)
 沖合い60〜80mポイントでは、鉛で作成した布巻き鉛スッテ50号位を使用。
 鈎は二股コブ釣り鈎15号を複数巻き付けて鈎を多くする。
 浅場のコブイカは小さい鉛スッテを使用すると食いがいいから、25〜30号に15号鈎12〜14本付けて使用する。
 キンコウイカを専門に狙うには、枝スッテは付けない方がいい。
 コブイカの多いポイントでは、鉛スッテの50cm上に「コブ用浮きスッテ」1個を付ける。
 甲イカの多いポイントにはサバフグが多いのでビシテグスは使用しない。
 元糸は潮の抵抗が少ない素ヤマのパラゴン12号を使用する。
 ハリスは7〜8号を数m使用するがいい。
 沖合いでも、軽い鉛スッテの方に食いがいいが、潮流が速いとやれないのが難点。
 キンコウイカは、鉛スッテが着底した瞬間に抱き附いているから、仕掛けが張る直前に2尋程合わせ動作をすることだ。
 そのまま少し手繰り揚げて落とし込み「合わせ動作」を繰り返す。
 キンコウイカが掛かっても「手加減無し」に手繰り揚げることだ。
 1ノットを超すような速い潮流時には甲イカ類の喰いが悪い。


[コブイカ釣り]
(豊後水道・津久見市四浦半島・H丸漁師の仕掛け)
 ハリス5号〜7号使用。
 25〜30号程度のスルメ用の鉛スッテの鈎を、コブイカ用の15号鈎に変えて使用する。
 スッテは小さい程食いがいい。鈎数は間を空けず10本〜15本位がいい。
 コブイカの多いポイントでは50〜70cm上にも、もう1本トトスッテを付ける。
 コブイカは45〜60m水深に多いから、エビ類や小魚群の多い瀬際を狙うがいい。
 沖合いのキンコウイカは大潮日に食いがいいが、極端に潮流が速いと喰いが鈍る。
 小潮日は沿岸部でのコブイカの食いが上向くから狙い目。



浮きスッテ 各種

[コブイカ釣り]
(豊後水道・津久見市A漁港 M名人漁師の仕掛け
 ハリスは7号又は8号を使用。
 丈夫なハリスなので岩礁や海草に根掛りした際には、鈎が部分的に飛んでスッテは助かるが、ロープや魚網に根掛かりした時には、鈎が深く食い込むから鈎が飛ばず、ハリスを切るのに苦労する。
 [養殖場]など、根掛かりし易いポイントを狙うから鉛スッテは使用しない。
 40号程度の鉛錘の錘元にサルカンを付けて、このサルカンにトトスッテを付ける。
 70cm上に三叉サルカンを介してスッテをもう1本付けるが「チの長さ」は全く取らない。
 トトスッテでは鈎が大きく「テグス絡み」するから、この絡みを防ぐ為にスルメスッテを使用する。


[キンコウイカ・コブイカ・引き落とし釣り]
(豊後水道・津久見市四浦半島・H丸漁師仕掛け)
 沖合い60〜80mポイントでは、鉛で作成した布巻き鉛スッテ50号位を使用。
 鈎は二股コブ釣り鈎15号を複数巻き付けて鈎を多くする。
 浅場のコブイカは小さい鉛スッテを使用すると食いがいいから、25〜30号に15号鈎12〜14本付けて使用する。
 ハリス6号〜7号使用。
 鉛スッテより[引き落とし]又は、{アジの活餌掛け}がいい。
 エソやハマチ・ヒラメ・マトウダイ・アカヤガラ等が食い付くから、6号ハリスを使用し、鼻掛けの鈎は丈夫な小鯛鈎を使う。


甲イカ釣り あれこれ 1
 海底の砂地に潜んでエビや小魚を狙うコブイカ=スミイカやキンコウイカ=紋甲イカなどの甲イカを釣るには、豊後水道では疑似餌の「鉛スッテ」や「浮きスッテ」で狙う・・・
海底を確認する要領で誘っていると若干重くなる・・・この時、コブイカがスッテを抱いているので、思い切り合せ動作・・・掛かった甲イカは「墨を吹き付けよう」と、海水を含みながら揚がって来るから徐々に重くなる・・・

 釣り揚げた甲イカは、手早く背中を手前にして掴まないと、強烈に潮や墨をを吐出する・・・その吐出力は自身を360度吹き回すほどに強烈・・・この一回目は海水吐出だけだが、問題なのは2回目の吐出・・・これはイカ墨そのもので墨汁以上の濃さ・・・吹き付けられたイカ墨は、洗っても洗っても手品の如く墨が湧く・・・

 真鯛やブリなどの天敵に襲われた際、一回目の吐出でロケットに勝る強力噴射で逃避し、二回目の噴射は煙幕作用のイカ墨・・・甲イカは煙幕のイカ墨の中で黒く変身して天敵が去るまで待つ・・・
 船上にイカ墨を吹かれた時には、速やかに海水で洗い流すと簡単に洗浄できるが、ワンタイム放置すると落ちなくなる。

甲イカ釣り あれこれ 2
 船際まで揚がった紋甲イカ・・・タモを持つ手がモタモタしていると鈎外れした・・・その瞬間、海中にイカ墨の黒雲が浮く・・・柄の長いタモだったのでイカ墨煙の中をすくうとタモの中に大きな紋甲イカ・・・”獲り戻した”と一人言・・・過去に2度ある嬉しい経験・・・漁師の言う「船際で釣り落とした甲イカは墨の中をすくえ」を、地でいった次第・・・
逃げた甲イカは、イカ墨の中で黒く擬態して天敵魚が去るまで待つ・・・甲イカ殿・君は偉い・・・



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