一本釣り漁師の真鯛釣り
ふかせ釣り
豊後水道西部で資料収集




 「真鯛のふかせ釣り」は、独特な真鯛釣り漁法であるからこの特徴ある「真鯛のふかせ釣り」の漁法を理解することが前提となる。

先ず、真鯛の多いポイントに船を固定し、活きたエビを撒き餌にして真鯛を寄せることから始める。次に、仕掛けを潮流に「ふかせて」寄り集まった真鯛を釣り上げる漁法だ。

 この釣りは、鈎付けしたエビ餌を、撒き餌と同じ沈降速度とその角度を保ち乍ら「真鯛の居る棚」まで同時に沈下、到達させることが絶対条件であり、匁単位の鉛玉の重さが釣果を大きく左右することになる。

 真鯛群の濃い時には、一日に100sを越す漁獲も珍しくはない。漁師が、「まあぁ、釣れた」と言ったならば数十s以上の漁だと思うがいい。





真鯛の習性と釣り時期
 一本釣り漁師は「鯛程多い魚はない、一年中何処にでも居る」とまで言う。
 真鯛の生息域は広く、浅海の藻場から150mを越す深海まで及ぶ。又、遊泳層にいたっては、甲殻類が多い低層は真鯛の聖域であるが、中層や上層にイカ類やイワシ類などの小魚群が居れば、これらを追って目視される程に浮上する。このように立体的にも広いエリアを採餌場としている。
 特に豊後水道には急流域に点在する岩礁域が多くあり、深い沖合いにも沈み瀬や漁礁、沈船などが無数にある。このような沈み瀬等の付近には常に大型真鯛の魚影が濃い。身を隠せるだけでなく、餌となる小魚やイカ・エビ等の甲殻類が潮流に乗ってやって来るので、簡単に補足されるからであろう。
 真鯛の遊泳層は、季節によって異なる事は知られている。低層に居る真鯛が浮上する位置(棚)は、餌とする甲殻類や各種のイワシ群・イカ群の動きと連動し、その日の天候や水温、それに潮流の変化によって異なるだけでなく、朝夕の時間帯によっても大きく変わる。
 特に、湧昇流の発生するポイントでは、増殖するプランクトンを求めてイワシ群などがやって来る。これらの餌を追う真鯛達が多く集って採食活動をするので群を形成する状態となる。


真鯛は濃密な群れを形成しない
 チダイやぶり等は、同歳で同一サイズの魚体が集合し、何百、時には何千匹もの濃密な大群を形成するが、真鯛群は個々散在した状態であり、その規模も青魚群に比較すると小さく、船を走らせ乍らの魚群探知機での探索では把握できないことも多い。
 湧昇流の発生するポイントでは低層から中層にかけて真鯛が集るが、その真鯛の映像は散在した星空状態に診える程度である。
 唯一、大真鯛の群の規模が判明する機会は、小魚群に附けた真鯛がカタクチイワシ漁の巻き網漁で混漁されることである。その際の大真鯛の数であるが、多い時でも一操業に数十匹程度であり、200〜300匹にも達する混漁は珍しい。しかし、魚影の濃かった30年程昔には、一網に数百匹を越す大真鯛の混漁は度々あったと聞く。尚、中小真鯛やチダイは大鯛よりも、うんと大きな群を成すようだ。


真鯛は大鯛・中鯛が混在しいてる
 真鯛群の特徴は、他の魚類とは違って真鯛の大きさにより、食することのできる餌を狙って寄り集まるので、イカ類やイワシ類には大真鯛や中真鯛が、小羽カタクチイワシ類の群やアミ類には中小の真鯛やチダイが混在した状態で居る。尚、エビやシャコなどの甲殻類が大発生すると、これらには大真鯛、中真鯛の他にチダイや小真鯛も附けるようだ。
 このように時季やポイント、附けている餌の種類や状態によっては大真鯛主体の群であったり、中真鯛や小真鯛ばかりの場合もある。尚、小さな真鯛は藻場に近い沿岸部に多く、寄り集まることは少ないようだ。


真鯛には縄張りがある
 一般的には知られてないが、真鯛には、川に住む鮎に似た顕著な縄張りがあると漁師は言う。このような習性があるからこそ濃密な群れを形成しないのであろう。
 秋に見かける10cm程度の当歳魚でも、他の真鯛子が近付くと背鰭を立てて猛然と追い払う。その、幼真鯛のエリアは2m程度と見た。
 鯛一本釣り漁師の経験では、真鯛の大きさに比例して個体の縄張りエリアは広く、大真鯛は可視範囲以上であると言う。しかし、このような真鯛も餌となる小魚やエビなどの甲殻類が多いと縄張りは一時的に解け、不思議な行動であるが仲間を呼ぶのだそうだ。この真鯛の大集合は、イワシ類に附けた真鯛を釣る際に、数s物の大鯛がWで鈎掛かりすることでも証明される。しかし、附けた小魚などの餌類が減少すると共に、縄張りエリアは急速に拡大する。
 春から初夏にかけての産卵期にも、同一ポイントに大中真鯛が集うが、これは、産卵期だけに見られる現象と思われる。


真鯛には学習能力がある
 鯛一本釣り漁師が実行する、真鯛の習性を利用した漁技や、自からの経験を加味して推測すると、真鯛には「顕著な学習能力と若干の伝達能力がある」との結論に達する。
     その証は
 魚類の養殖場では投餌船のエンジン音を認識し、投餌前でも舟の直下に寄り集まること。
 投餌船の来る時間帯を覚えており、休日でも、その時間帯には行動する。
 投餌船の係留位置を知っており、その位置に寄る。
 「ふかせ釣り」では、撒き餌のエビを一定の水深で待つ。(自然界では水面からエビの泳ぎ込みは無い)
 釣り揚げる途中に釣り逃がすと、他の真鯛の食いが止まる。(漁師はカドルと表現する)
 数匹釣り上げると警戒して釣れなくなる。(漁師はカドルと表現する)
 イワシ類などの小魚群が来流すると、直ぐに多くの真鯛がこれに附ける。


真鯛には伝達能力がある
 個々の縄張りにより、沈み瀬や漁礁付近を中心に広域に散在している真鯛であるが、活きたエビを撒き餌にしたり、小魚類の大群が接近すると、上流から流れて来る「小魚の匂いや波動」を敏感にキャッチして驚く程の短時間で寄り集う。
 真鯛特有の察知能力があるのかも知れないが、一本釣り漁師によると真鯛には独特の伝達能力があり、歯を鳴らして真鯛同士が呼び合うと言う。その反面、危険を察知すると警戒警報を発することになる。
 この証は、釣り揚げる途中に釣り逃がすと、それまで当っていたのに急に食いが止まったり、真鯛は多いのに、数匹釣り揚げると釣れなくなった経験も数え切れない程に多い。尚、大真鯛に至っては、一匹釣り揚げてから時間をおいて二匹目がやっと釣れるパターンが多く、三匹目が容易に釣れないこと。これが大真鯛釣りの常なのである。
 大真鯛が雌雄2匹で行動すると言う「ゆえん」でもある。尚、イワシ群に附けた真鯛を狙う{イワシ鯛釣り}では、真鯛達の密集度が高いだけでなく、採餌行動が活性化しているからこの限りではない。
 真鯛がこのように、釣具等の危険を察知して釣れなくなる状態を、漁師は「カドル」と表現し「竜宮城の乙姫様が鯛に危険を知らせるんじゃー」と笑う。このように「カドル」ことが顕著、な魚には、大型中型の真鯛と大型イシダイ、ブリ、大型のメバル等がある。
 真鯛の「縄張りや伝達能力」、「カドル」習性についての文献は見当たらない。漁師の長年の経験と探究心は学者に勝る研究者であり、偉大なる未知の世界の発見者なのである。


魚は腹が減ったから餌を食うのではない
 魚が採餌パニックになると、餌となる甲殻類やイワシ類の大小に関わらず腹がパンパンに張るまで食い漁る。その反面、魚影が見えても1週間以上もの長期間、全く釣れない経験をしたことも数え切れない程多い。この状態は魚の体内にある、{採餌スイッチ}のON、OFFによるものであり、何かのきっかけで、この{ON、OFFスイッチ}が入るのである。
 この{きっかけ}となる要因であるが、漁師によると、餌の状態・水温の変化・日差し(日照時間や強弱)・気圧・潮流の強弱・海水の塩分濃度と濁り度合いや成分・餌や天敵の有無などが考えられると言う。


のサイクルについて
 豊後水道中央部の真鯛の行動は、餌となるイカ類、小魚群の動きや甲殻類の大発生等の状況により、それらに附けて移動するだけでない。イルカや赤潮などの天敵に追われて、頻繁に逃避や集合を繰り返す等して、居場所を替えることは漁師仲間では常識となっている。
 特にイルカの動向には目が離せない。これは、プランクトンや甲殻類が大発生すると、カタクチイワシやウルメイワシ・キビナゴ・ヒイラギなどの小魚の大群がこれに附ける。さらに、アジやイサキ・イカ等の群れがこれに寄り、これらを大好物のハマチや大真鯛などが寄ることになる。
 イルカは、この近海では食物連鎖の頂上的存在であり、これら全ての魚を食するので、独特の察知能力によって嗅ぎ付けてやって来る。多い時には数十頭から数百もの大群が姿を表し、餌となる魚類が霧散するまで長期間にわたり豪快に遊泳する。
 この食サイクルを知っている漁師達は、一本釣り対象魚の動向を敏感に先取りして漁をする。豊後水道本流域の無垢島、高島周辺にイルカの大群が長期にわたり回遊するような時には、四浦半島の内海の浅場には、このイルカを警戒して逃避したイワシ類やアジ類の群だけでなく、ハマチ・大真鯛・ボラなどが大挙して避難して来ることがある。
 漁師はこの状態を「イルカ回し」又は「イルカ食い」「オオイオ食い」と表現する。又、カモメやウミネコ・アジサシ等の水鳥が「弧を画いて乱舞する時も」ハマチや真鯛が多いと思った方がいい。小魚の大群が居て、この小魚群を餌とするハマチやサバ等の大型魚が海面まで追い上げて盛んに食しているからである。この位置が沈み瀬や漁礁近くであれば、必ず、真鯛がこの下層に群れている。しかし、魚類の養殖場や巻き網船団の蓄養筏付近で乱舞する水鳥は例外であり、このカモメ等は生け簀内の小魚や養殖用の撒き餌を狙っている。


真鯛の食事時
 真鯛の食いの立つ時間帯であるが、大中真鯛は、朝夕の「まずめ時」が最も食いがいい。日中の大潮時では、潮流が緩くなる「潮止まり前」と、逆の潮流が流れ始める「行き始め」に集中して釣れることが多く、概、午前中の漁獲量が多いように思える。
 一般的に小型の真鯛やチダイは、小潮の時でも一日中ぼつぼつは釣れるが、最も食いが立つ時は大真鯛と同じ「まずめ時と大潮時の潮変わし時」であり、小潮の時は大潮時のように荒食いすることは少ない。しかし、他の魚が大潮の朝夕だけ集中的に食いが立つのとは違い、この定説が100%通用しないのが真鯛釣りであり、日中でも貪欲に餌を追い、小潮の晴天時でも大釣れすることがあるのが真鯛釣りの特徴と魅力なのである。特に、[ふかせ釣り]では活きたエビを撒き餌するから、潮流の動きが緩やかでも好漁することも多い。
 潮が澄んだら家で釣れ(仕掛け作り)、濁った潮に船を出せ・・・漁師の格言
 魚類全般的な習性であるが、前日より海水温度が急速に上下すると、食いが鈍くなるのが常であり真鯛も例外ではない。
 この水温の急速な上下時には、プランクトンの発生が急激に減少し、前日に比較すると急に海水の透明度が増すから容易に判別できる。
 まじ(南風)が吹いたら食わんのじゃー・・・漁師の格言
 台湾付近で低気圧(台湾坊主)が発生して南風が強くなり「明日は雨になる」ような気象状態になった時も真鯛等大魚の食いは大幅に悪くなる。
この状況は気圧が急速に低下するからであり、これを嫌う真鯛などの魚に悪影響を与えるのであろう。このような時には、関節痛などの持病を持った人は「痛みが増す」と言う。
 底引き網漁師の話では、このような日には海底の砂泥が異常に柔らかくなり、曳く網に影響があるだけでなく、底性生物全体にわたり大きく漁獲量が低下すると言う。しかし、翌日に、雨が降り始めて風波が収まると釣果が騰がる。これは、日照がなく、気圧が安定してきたから、真鯛の餌となる小魚などの動きが良くなったのである。尚、晴天時の夏季のまじ{南風}は地形的なものであり、気圧に変化は無いので真鯛の食いには影響はない。
 一日のうちにもサイクルがある。湧昇流が発生する沈み瀬や漁礁付近では、朝夕のまずめ時になるとプランクトンが必ず沸く。
 カタクチイワシやウルメイワシ群等は、このプランクトンに驚くほど迅速に附ける。漁礁や沈み瀬付近に居附いて、これらの小魚を追う真鯛やハマチ、アジ、イサキなどは、小魚の動きに合わせて次第に中層まで浮上する。しかし、その時間帯を過ぎると、これらのプランクトンは、何時の間にか霧散してしまい、これに附けた魚達も姿を消すことになる。※ 大潮時はこの現象が強く現れるので魚の食いがいいことになる。
 大潮でなけりゃー、口がねえんじゃー。潮が行かんと食わんのじゃー。 漁師のたわごと
 小潮時には動きの遅かった海水も、大潮になるとその数倍もの海水が瀬戸内海に出入りする。大海原が一斉に移動するのであるから、そのエネルギーは物凄く、湧いたプランクトンを餌とする小魚群は、漁礁や沈み瀬際で、1日に2往復する潮流に合わせて採餌することになる。複雑な地形なので、速い潮流により上昇流が発生するだけでなく地域的に逆流現象もみられるポイントもある。同じ採餌活動をして成長する、関アジ、関サバ漁場の南部に位置する当地方が、全国的にも稀な真鯛漁場となっているのも、このような好条件に恵まれているからである。



  
真鯛は夜釣れるか
 「ふかせ釣り」を夜間に行なう漁師は居ない。唯一、暗い夜間に「ふかせ釣り」を経験した漁師の話では、多少は釣れるが昼間に比べると漁獲量がうんと落ちるとのこと。尚、夜行性の魚であるメバル、イサキ、チヌの食いだけはいいと言う。夜間にはべラやハゲ類、フグ類等の餌盗り上手な雑魚の居ない利点もある。
 夜間には真鯛の採食行動が鈍くなるようであるが、月夜には月光の届く30m程度の浅場で「テンヤ釣り」をやると、真鯛の他に大チヌを含めた釣果が得られると言う。しかし、闇夜の「テンヤ釣り」は、ポイントの特定が難しく、多くの真鯛を釣果にした話を聞いたことがない。
 初夏はゴカイの産卵期であり、夜間に各種のゴカイが一斉に成虫となって海中を泳ぎ回る。1s物から2s物程度の中真鯛がこれに附ける。
 この真鯛を狙って[胴付き仕掛け]にゴカイを掛けてこの時季に合わせて真鯛ポイントで「ムシ鯛釣り」をやると、中層から低層で多くの真鯛が釣れる。一晩に数十sもの大漁も稀ではない。
 水の子島等の急流域が主ポイントとなる。尚、いわし漁の集魚灯に寄った小魚や甲殻類に附けた真鯛は、灯火下で盛んな食いを見せるが、真鯛は直接灯火に寄る習性はないようだ。



釣り日記について
 真鯛の動きを知るには、過去の釣り日記などの情報が非常に有用となる。今日からでもいい「釣り日記」を記すことだ。
 真鯛の乗っ込み行動は産卵時期だけではない、常に、餌となる甲殻類の発生や小魚やイカ類の来流に附けて移動し、生息条件のいいポイントに居付くパターンが多い。不思議にも、このパターンは多少の増減や少しばかり「ずれはあるが」、毎年大きな狂いは無く必ずやってくる。
       魚の移動と草花の開花に三日のずれはない・・・漁師の格言
 草花の開花の例を桜の開花時期で比較してみよう。気象異変で寒い年でも暖冬であっても大幅な狂いは無く、毎年3月下旬には必ず咲く。海中でも、これと同様に大きなずれは無いのである。

釣り日記に記入する事項は
 釣行年月日と天候。釣れた時間帯は必ず記入する。この際、旧暦は必ず記入しておく。
 ポイント、特に山の位置は詳細に記載しておく。例(手前の○○灯台と遠くの☆☆島の右端)
 釣れた魚名と大きさ、その数。魚の食い付き状態、(底から15メートルなど)
 漁法とその仕掛け。  例 胴付き仕掛け(4号、枝3号40cm3本)針(チヌ4号)等。
 潮流方向とその強弱 例(旧暦二日11時に潮止まり、満ちに変わってよく釣れた)等。
 付け餌と撒き餌の量、その入手方法と餌の状態。
 陸の草花の開花状態と動物の状況例(山桜が咲いた、みかん開花、もくせい開花、猫発情)など
 (彼岸花開花など一斉に訪れる自然現象を書くこと)
 延縄漁や網漁の他、信頼できる他の釣り人の漁獲状況、イワシ類やハマチ等、各種魚群の来遊状況も併記しておくがいい。又、魚市場や漁港等で、大量の水揚げ状態を目視したならば好情報だから、これも追記する。


[ふかせ釣り]の仕掛け
 「ふかせ釣り」の釣具は、ハリスに小さな割り鉛や丸鉛を数個固定しただけの仕掛けであり、漁師の釣具では最も単純で安価なものであろう。釣る対象魚が最高級の天然真鯛なので意外性を感じるほどである。しかし、鉛の大きさやその数、間隔などの微妙な作成技術や釣行中の小さな注意事項のチェックで釣果に大きな差が出てくる。




真鯛[ふかせ釣り]の仕掛け(豊後水道・津久見市AK港 NT名人)
 下記の「ふかせ釣り仕掛け」は3号ハリス仕掛けなので、4号ハリスの場合は全てを1号APにする。
 鈎は鯛一本釣り鈎の10号〜13号。
 ハリス3号の場合は、鈎元より30cm〜50cmに鉛(大〜特大)1個。
 その上方四尋(6m)に1号鉛。1号鉛より上3尋(4.5m)にサルカン。
 サルカン上は4号テグス3尋(4.5m)とし、5号テグス3尋(4.5m)と結ぶ。この結び目付近に1号鉛を1個付ける。
 5号テグスは元ヤマ6号と結ぶが、このヤマとの結び目には、潮流調節用の1号〜3号程度の鉛を1個付ける。この鉛の付け外しで沈下力を調節することになる。
  撒き餌の活きた赤エビは海面から撒く。
 付け餌の活きた赤エビは、健全でヒゲが切れてない個体を選んで頭掛けとする。
 大真鯛は後方に浅く居る。小真鯛は手前深くに居るものだ。
 撒き餌が効いてくると、七尋程度は浮上するものだ。
 籠での赤エビ撒きは海底より5尋で始め、真鯛が寄ったならば徐々に浅くする。


真鯛「ふかせ釣り仕掛け」(豊後水道・津久見市F漁港 TY名人)
 ハリスは、主ハリス枝ハリス共に4号を使う。下鈎1本。枝鈎2本。
 鈎元のハリスの長さは1尋。ハリスは、錘近くの三方サルカンより出す。
 錘は三方サルカンの直下に丸玉鉛を付けるが、サイズは状況により1〜3号を使い分ける。
 鈎は小鯛鈎の10号〜13号がいい。鯛が小型の場合は金龍鯛一本釣り鈎11号。大真鯛には金龍小鯛鈎12号がベター。
 サルカン上の枝鈎と、その上の枝鈎は、2尋(3m)間隔とし、枝ハリスは1尋。
 ハリス3号の場合は、鈎元より30cm〜50cmに大サイズの鉛1個。
 その上方四尋(6m)に1号鉛。1号鉛より上3尋(4.5m)にサルカン。
 5号テグス3尋(4.5m)と結ぶ。この結び目付近に1号鉛を1個付ける。
 5号テグスは元ヤマ6号と結ぶが、このヤマとの結び目には、潮流調節用の1号〜3号程度の鉛を1個付ける。この鉛の付け外しで沈下力を調節することになる。
 付け餌のエビは「赤エビ」がいい。「シラサエビ」には食いにくいものだ。
 小エビには「抱き合わせ掛け」に食いがいい。尻尾の先の中央に鈎先を入れて腹側に出し、もう一方の小エビの腹先より鈎先を入れて尻尾の中央に鈎先を覗かす。この鈎掛け方法では、エビが跳ねると鈎より抜け易いので、静かに投入することだ。又、尻尾を除去してないから、鈎をエビの中央に鈎掛けしないとエビが回転して{真鯛}は食い付かない。


{イサキ}{メバル}{大アジ}が附いた時の[ふかせ釣り仕掛け](豊後水道・津久見市四浦漁港H名人)
 ハリスは、中真鯛が混漁されるから3号を使用する。
  {アジ}や{イサキ}が大きい場合や、食いのいい状態であれば3号ハリスを使用する。
 小さいエビに食いがいいから、付け餌にするエビも小さいものとする。
 鈎は真鯛一本釣り鈎の8号〜10号。エビが小さい場合は鈎も適宜小さくすることだ。
 鈎元より30〜50cmに大鉛1個。その上2尋(3m)に枝1本。枝の長さは矢引き(90cm)縺れるようだと小さな親子サルカンを付けるがいい。
 撒き餌の活きたエビを多く撒くことだ。{イサキ}や{大アジ}は大きな群を形成しているから、撒き餌に附くと、とてつもない大漁が期待できる。


真鯛「ふかせ釣り仕掛け」  (豊後水道・津久見市H漁港 TH名人)
 ハリス4号。枝鈎を2本。
 枝鈎2本の場合は、鈎元より1尋(150cm)に2号鉛程度を1個だけ付ける。
 小鯛やチダイが多い場合は、鉛は3号を使って、その上方2尋(3m)に枝鈎。さらにそれより上2尋(3m)にも枝鈎。
 枝ハリスの長さは1尋(1.5m)。
  枝上のハリス4号テグスは3尋(4.5m)とし、サルカンを付けて中間号数の5号テグスを数mを入れて元ヤマ6号と結ぶが、このヤマとの結び目付近には、潮流調節用の1号〜3号程度の鉛を1個付ける。この鉛の付け外しで沈下力を調節することになる。
 鈎は鯛一本釣り鈎の10号〜13号。
 鈎に掛けるエビは、赤エビがいい。シラサエビには食いにくい。
 エビが小さい場合は、小エビを「抱き合せ掛け」にするといい。尻尾は切らず、尻尾の中央より鈎先を入れて、もう一匹の小エビは腹より鈎先を入れて「引き落し掛け」する。
 真鯛は「向こう掛かり」でいいが、チダイは餌盗り上手なので、当たりがあった際「直ぐに合わせ」ないと鈎掛かりしない。


元糸は、籠又は巻き枠を使用
 元糸とは、巻き枠に巻く道糸のヤマ糸のことであるが、大魚に曳き込まれた際の予備糸であり、通常は海中に入れることはない。
 道糸が必要以上に太いと、伸縮や潮切りが悪いので、ハリスとのバランスが取れずハリスに無理がいくことになる。テトロン系道糸8号〜10号物を100m程度巻いておくがいい。
 大真鯛やブリ、スズキ等の大魚が食い付くことが多い。これらの大魚に曳き込まれた際、4号中心の微細なハリスを使用しているから、手元の元糸を伸ばして「やりとり」し、魚の疲労を待たないと捕れない。
 この為には、手元の「元糸」は、プラスチック籠に取り込むといいが、巻き枠に「元糸のヤマ」を巻く場合は、迅速に伸ばせる機能を持つ回転枠や丸枠に限定される。
 回転枠であれば、激しい引き込みの場合には片手で持ち、もう一方の手でヤマ糸を握り、ハリス能力一杯に締めながら伸ばし込むことができる。
 丸枠とは、浮力のある防舷具や発砲スチロールなどを丸く「つづみ型」に加工して元糸のヤマを巻く。丸枠は、船倉や籠などに入れておくがいい。
 曳けば自由自在に回転して糸が出るから、両手で魚の「やりとり」が可能であり、万が一海に飛ばされても浮力があるから手中に取り戻すことができる。


元テグス
 ヤマ糸の下に付ける元テグスの太さは、ハリスより1号〜2号アップとする。
 水深にもよるが、長さは50mはほしい。尚、手捌きが良くて「やり取り」時にすべりの無い、ヤマ糸だけを愛用する一本釣り漁師も居るが、「ふかせ込む」際、海水の抵抗が増すことが弱点となる。この場合、6号〜8号、太くても10号が限度だ。
 元テグスは、鈎附けした餌のエビを海中に送り込む重要な役目をするので、縺れにくい上質なものを使用し、サルカンを付けてハリスを結ぶ。
 サルカンは、丈夫な種類とサイズを選定するが、真鍮が赤く変色したり緑青を吹いているものは変質している証拠であるから絶対に使用しない。又、変形したものや古いものも除外する。
 基本的には、5号ハリス以上の対応能力があればいいのであるが、太いサルカンを付けて錘兼用にするのもいい。


ハリス
 [ふかせ釣り]のハリスは4号中心とするが、全体の長さは号数に関係なく10m程度とする。細いハリスで大真鯛を釣るのであるから、最も上質なテグスを選定して使用する。

そのハリスの条件は
 丈夫なこと。
 柔軟性があること。
 透明度がいいこと。
 縺れにくいこと。
 ハリスの号数は,細い程、活エビの泳ぎが良く、真鯛の食いがいいのは当然であるが、細すぎると大鯛等の大魚が鈎掛かりした際に切れてしまう。
 釣れる真鯛の大きさで、その号数を決めるが、真鯛のサイズとハリスの強度を考慮し、対応能力限界の出来る限り細いハリスを使用する。しかし、真鯛は黒鯛(チヌ)とは違ってハリスに対する極端な警戒心はないから、小型の真鯛であっても3号以下のハリスを使う必要はない。
 小真鯛、中真鯛が中心に釣れ、時々大真鯛が混漁される状態であれば4号ハリスを標準とする。4号であれば、通称一貫匁鯛と呼ばれる大真鯛でも「やりとり」すれば切れることはない。
 大真鯛が多い時や、中真鯛でも魚影が濃くて食いの立った時には、仕掛けを5号ハリスに取り替えて、鈎掛かりした真鯛を手早く取り込み、仕掛けを素早く投入して、手返しを速くすることが大漁のコツ。
 5号ハリスを使用しておれば7sクラスの大真鯛や5s物のハマチでも、鈎掛かり当初の数回の曳き込み時に、慎重に手加減して「やりとり」すれば切れることはない。
 尚、稀なことではあるが、超度級の真鯛の他、ブリの群が餌附いて入れ食い状態になることがある。このような場合には、大魚の食いが落ちない最大号数にすること。
 4号のハリスを使用して大真鯛を釣り揚げた場合、曳き込む際に真鯛の体に触れる範囲のハリスや鈎の結び目が真鯛の口やエラ・シッポ等で擦れていることがあるので、大真鯛が掛かった場合にはハリスや釣り鈎は、その都度取り替えた方が無難である。
 5号のハリスであれば、釣り上げ後の毎回の鈎元やハリスの点検は不可欠であるが、概、数匹の取り込みは可能だ。
 投入直前には、ハリスを引っ張り能力一杯に引き伸ばして「巻きくせ」を完全に取っておくこと。これは大事。
 エソやタチウオなどの歯魚が釣れた時には、鈎元や可動範囲のハリスが鋭い歯で噛まれて傷んでいると思った方がいい。直ちに点検することを怠らないこと。
 特にタチウオの噛み傷は深く、少しでも異常が認められたならば、必ず、ハリスや鈎の結び変えをすることが鉄則。この動作を怠ると次に大真鯛などが鈎掛かりした際、ハリスは簡単に切れてしまう。後で地団駄を踏んでも遅い。



おもり(割り鉛)の取り付け
 ハリスを10m使用する場合の標準的な仕様を説明しよう。
 ハリスは、元テグスとの間にサルカンを入れて結び合わせるが、「サルカンの上方5m〜7mの元テグス」には割鉛の1号〜3号ものを一つ付ける。
 この鉛は、潮流の状態を診て沈下速度を調節する為の鉛であり、大きさの違う鉛を「付け外し」して沈下力を調節する。
 二つ目の鉛は、元テグスとハリス間の「サルカンの直ぐ上の元テグスに」1号程度の鉛一つを付けておく。
 三つ目の鉛は、ハリスの中間点(5mのところ)に1号程度の鉛を一個付ける。
 四つ目の鉛は、釣鈎の30p〜50p上方に大〜大大サイズの割鉛を一つ付ける。この、釣り鈎に近い最下部の鉛が太過ぎると、鈎付けしたエビの動きが不自然になるから要注意。
 前記の個所に合計数個付けている沈下用の鉛は、要は、潮流に変化があっても「撒き餌のエビ」と「鈎に掛けたエビ」が自然の状態を保ちながら、同じ沈下速度で真鯛の居る深さ(棚)まで届けばいいわけである。
 「ふかせ釣り」専門の漁師は、割鉛をこまめに附け外しして、うまく仕掛けの沈下力を調節する。
 使用している鉛は上質な割鉛であるから「竹へら」で簡単に外すことができる。
 鉛の付け外しに、ナイフや千枚通し等の金属類はハリスを傷めるから絶対に使用してはならない。必ず、竹やプラスチックで作成したヘラを、角の無いようにヤスリ掛けしておく。
 割り鉛は純度の高いものを使用することだ。純度の高い鉛は濃い鉛色をなし、比重が重いだけでなく、柔軟性にも優れている。逆に銀色に光る鉛は錫等が混入されており、軽くて硬い。


釣り鈎   こまい釣鈎一本が俺たち漁師のいのちきじゃー ・・・漁師の格言
 「ふかせ釣り」は、賢く餌を噛み口が頑丈な真鯛を釣るのであるから「鈎の選定」が非常に重要となる。鋼仕上げの鈎でなければ、次の三つの条件をクリアできない。

(一)  大鯛が真正面より噛んでも折れてはならない。
(二)  大鯛やぶりが鈎掛かりしても伸びてはならない。
 強度の足りない不完全な鈎を見分けるには、鈎をペンチで挟んで丈夫な木材に掛け、思い切り力を入れて「ぐい、ぐいと」曳いてみる方法が最もいい。簡単に折れてしまったり、伸びてしまう鈎が以外に多いのには驚く。これは製造過程での素材不良や焼入れ時の温度管理の失敗によるものであろう。
 ふかせ釣り漁師が使用する鈎は、その漁師が長年の経験で選定した「いい鈎」であることには間違いない。
 我々遊漁者も同じメーカーの同種類の鈎を使うことが多いが、このような鈎であっても製造過程の要因なのであろう、以外と粗悪なものが多いので事前に強度試験をしておくことが重要だ。尚、釣行には必要以上の鈎の携行は避けること、海水の塩分や水分で錆びてしまう。
 完璧ないい鈎は滅多にないから、いい鈎に出逢ったならばストックとして確保しておこう。

(三)  鈎先が鋭いこと。 (メッキかぶり,先折れ,先めくれがないもの)
 餌のエビを鈎掛けする際には、毎回必ず鈎先を指で触って小さな「めくれ」や「鈎先の折れ」がないかを確認し、一寸でも鋭さが鈍ったならば直ちに鈎を取り替えること。
 真鯛釣りに使用する鈎先にこれ程神経を使うには、それなりの理由がある。真鯛は、先ず、口先で賢く餌を噛む。この時に唇に鈎掛かりさせないと、口の中は臼歯状態の歯が多くて硬いから「鈎掛かり」が悪いからである。
 真鯛の唇は、口中とは違って鈎掛かりがいい上に丈夫なので、掛かった鈎が外れることはない。
 ふかせ釣り漁師の多くは、一本釣り用鯛鈎の8号から13号をエビの大きさに合わせて使用するが、同じ鯛一本釣り鈎でも特定のメーカー物だけを好んで使う人もいる。又、アジ鈎や土佐鈎、セイゴ鈎などを好む漁師もいる。
 鈎のサイズは、何時も同じ鈎を使用してはならない。釣れる鯛のサイズはポイントや気象状況によって日々変わるものであり、対象となる魚の大きさや、使用する餌エビのサイズを考慮して決める。それに重要なことは、釣行中の現場の状況に合わせ、迅速に対処することである。これが釣果を左右することになる。
※  金色メッキの鯛鈎は錆やすい上に、総じて弱いから使用しないのが無難。


ポイントの設定
 撒き餌と鈎に付けるエビ餌を準備した上で、真鯛の来流情報や潮具合、天候を予想して「ふかせ釣り」の条件に合ったポイントに船を進める。船の位置は、沈み瀬や漁礁などの真鯛の居附くポイントから、数十m以上の潮上側に固定しなければならない。
 船をポイントの潮上側に固定する理由であるが、真鯛やイサキ、アジなどの魚は、餌となる小魚や甲殻類が潮流に乗って流れて来るので、その方向に向かって泳ぐ習性を身につけている。真鯛の居る位置は、常に沈み瀬や漁礁の潮上側であることを忘れない。
 ポイントに着いたならば、直ちに、船を固定する為の投錨位置を定める。これには、投錨後に満ち潮や引き潮が、どの方向から何時間流れて来るかを、潮見表などを参考にして把握しておく必要がある。「ふかせ釣り」の仕掛けの流下予想位置が、真鯛の居るポイントに合わなければ真鯛釣りは出来ない。
 それ以外に、大潮小潮による海水の流速や風向きも無視できない。又、ウマズラハゲなどの餌取り雑魚の状態も把握しておく必要があり、雑魚が多ければ若干潮上に船を固定するがいい。沈み瀬や漁礁に近過ぎると雑魚が多いものだ。{真鯛}のポイントは雑魚の多い位置より上流側に位置する。
 一般的なポイントでは、干満により潮向きが逆に変わった場合、沈み瀬の反対側に船の位置を変えないと釣れなくなるのが常であるから、その対応が可能な位置に投錨しておくのも一つの方法である。しかし、一定の潮流だけに{真鯛}の当りがあり、潮流の向きが変わると、上流側でも全く釣れないポイントも多い。このような場合には他のポイントに移動する以外に方法はない。
 錨は普通の金属錨で良く、ローラーで巻き上げるので少々重くても差し支えない。しかし、漁礁や沈船に根掛かりした場合は取れなくなるので、投錨位置には十分な注意が必要となる。
 漁師は、このような場所に投錨するのに適した手製の錨を持っている。建築現場で使用する軟鉄の4分鉄筋(12o)程度のものを錨型に溶接して使用する。根掛かりした際にはローラーで巻くと湾曲した鉄筋が牽き伸ばされて簡単に外れる。この場合、鉄筋の太さや爪の長さは船の大きさ、潮流や風波の状態により適宜異なるのは当然。
 錨の数は二本から三本必要である。その錨に付けるロープの長さは、水平距離で水深の三倍以上なければ錨からのロープ角度が悪く、潮流や風波に負けてしまい固定力は半減する。尚、錨元には数メートル程度の鎖を取り付けておく。ロープの擦り切れが防げるだけでなく、錨元の沈下力が増すので錨の「かき込み」がいい。
 錨二本だけで船を固定した場合は、少しの横風でも船の位置が目まぐるしく替わるので非常に釣りづらい。できるだけ三方向の錨で船を固定したい。沈み瀬や漁礁に近過ぎると雑魚が多いものだ。{真鯛}のポイントは雑魚の多い位置より上流側に位置する。
 太いロープを使用すると潮流の抵抗が大きいから、細くて潮切りのいい丈夫なロープを選定すること。まぐろ延縄用の主縄が手に入れば、細くて丈夫な上に吸湿性も無く、潮切りが良くて縺れにくい。その上、容量も少ないので「ふかせ釣り」の錨用の諸条件を満たしているので最適である。
 大魚が鈎掛かりすると仕掛けを曳き回す。魚の「取り込み範囲内」に錨ロープを設置しない。これは常識。
 水深30mを越し、潮流のある場所に設置された真珠養殖場やブリなど魚類の養殖筏、蓄養筏付近は真鯛やチダイの絶好の釣り場であり、ポイントを探す必要もなく投錨する手間も要らない。しかし、餌取り上手なウマズラハギやサンバソウ等の雑魚が多くて釣りづらいのは覚悟しておこう。
 養殖場の近くの海底に沈み瀬や沈下物があれば、それに近い生け簀の潮上側(上流側)が最もいいポイントとなる。しかし、鈎掛かりした魚が「仕掛けを曳き回す範囲内」にロープなどの障害物が無いことが絶対条件となる。
※  養殖場の筏付近に釣行するには、事前に養殖場の持ち主又は管理者の了解を得る必要がある。



テクニック
 鯛を釣るには山を見よ、鯛は山で釣るもんじゃー・・・漁師の格言
「T山、2えさ、3手の内」と漁師は言う。
 山とは ポイントのことであり、漁師言葉でこのように表現する。沖合いには、○○出しとか一郎、勘兵衛など、人名の付いた沈み瀬が多くある。魚群探知機がなかった昔、広い海原の海底に位置する沈み瀬などを発見し、卓越した漁をした名人漁師の名前が付いたのであろう。
 この、沈み瀬などの特定に使用する手法であり、固定物件同士を角度90度で二方向を目視で結び合わせる。たとえば、手前の灯台から遠くの山の頂上、他の角度でも、手前の小岩と沖合いの○○島の右端等。
 えさとは ずばり、エビなどの付け餌と撒き餌である。「ふかせ釣り」には、活きのいい赤エビを大量に確保することが大漁につながる。
 手の内とは「テクニック」であり 独自にあみだした仕掛けの寸法やサイズの他に、10日潮は△△沈み瀬の南南東向きとか夜明けの満ち潮は○○漁礁、三日潮で釣るには7尋上げる、などの釣り技術のことであり、これらは門外不出の企業秘密と言える。微妙な観察テクニックが釣果を左右することになる。
 ふかせ釣りは、船を固定しての釣りなので、潮流を無視したのでは釣りにならない。大海原の全ての海水が移動するのであるから、これに対抗しては仕掛けが負けてしまう。
 仕掛けを沈下投入させるには、手を貸して「くり出す」がいい。この際重要なことは、海原全体が動く感じの潮の流れがあるので、投入の途中で仕掛けが張ると潮流に押されて前方で浮き上がってしまう。尚、真鯛の遊泳層近くまで沈下させてからは、真鯛の当りを手先で探る要領で少量ずつ送り込むがいい。
 真鯛の遊泳層を「抜け外れた」ならば徐々に手繰ると仕掛けは浮上してくる。この時に真鯛が食い掛かることも多い。
 真鯛がエビを咥えて向こうを向くと一気に走ることもあるから、すかさず、数手手繰り合わせて、がっちりと鈎掛かりさせる。
 初めてのポイントに釣行する場合は、水深や潮の速さを確認した上で、仕掛けの重さとその投入程度を予測する。
 一つの目安は、餌エビを掛けて仕掛けを流した時、仕掛けの角度が45度の場合であれば、先ず、仕掛けを水深の長さだけ伸ばし込み、この位置より下方に真鯛の食いを探りながら伸ばしてやると、船からの真鯛の遊泳層に合うことが多くて具合がいい。
   真鯛は、エンジン音と魚探の発信音波を嫌う。
 真鯛はエンジン音や魚群探知機の電波を明らかに嫌うものだ。[ふかせ釣り]漁師の経験では、エンジン音の場合、ジーゼルエンジンよりも船外機のエンジン音の方を極端に嫌い、近くを船外機船が通過すると一時的に{真鯛}群の映像が消える程だと言う。又、[てんや釣り]漁師の話では、浅いポイントではエンジンを止めて操業すれば、明らかに釣果が増すとのこと。
 電探の電波を嫌う証は、寄った{真鯛}の状態を診るのに電探のスイッチを入れると{真鯛}の群に多少の逃避行動が見られるものだ。
    真鯛は、学習してエンジン音に寄る。
    通常はエンジン音を嫌う真鯛達だが、反面、学習機能が発達しているから、不思議にもエンジン音に寄る場合があるのである。
 「ふかせ釣り」の優良ポイントでは、常時「ふかせ釣り」が行なわれているので、真鯛達が常時釣行する船がエビを撒くことを覚えている。
 「ふかせ釣り」漁師の「いつもの漁船」が、このポイントに釣行すると、真鯛は、その船のエンジン音を聞き付けて、船の真下に寄り集まるから都合がいい。
 一般の漁船のエンジン音にも、ある程度の反応があるから、この真鯛の学習機能を最大限に利用し、ポイントに着いても直ぐにエンジンを切らず、そのままの状態で待つことである。
 特に[ふかせ釣り]が盛んな四浦半島の沿岸部の真鯛は、エンジン音に敏感に反応して素早く集まり、真鯛が濃い場合には、5分から10分程で船の真下の中層から下層に寄り集まると言う。
 尚、魚類養殖場の天然真鯛の反応は遅く、15分から20分は待つ必要がある。何れのポイントでも、真鯛が多い時には、水深50m地点でも、海底より15mから20mの中層に集合することが多いので、エビを撒きながら電波探知機の映像を確認して釣り始めるがいい。尚、電波探知機の電波を嫌って真鯛群が散ることがあるから、必用以上の電波探知機の使用は避けることだ。文献によると、真鯛は150Hzの音に敏感に反応するとあるが、漁船のヂーゼルエンジン音が何Hzであるかは定かではない。
 尚、真鯛は学習機能が発達しており、魚類養殖場での「えさ撒き機」の放出音にも寄る習性があるので、これらの場所での「真鯛の寄せ」には高圧散水機を利用するのも一手。これには、養殖場の管理者に断っての使用するのは当然。
 沈み瀬や漁礁で「ふかせ釣り」をする際、雑魚の状態で仕掛の沈下位置やその深さが予想できる。チダイが食い付く水深は真鯛の居る位置より深く、べら類、マルハゲよりは上方である。マルハゲやトラギス、べら類が釣れる位置は常に海底近くであることを忘れない。尚、ウマズラハゲが食い付くのは、仕掛けが真鯛の遊泳層を抜けた証である。撒き餌のエビに附いた真鯛は、その魚影が濃い場合はうんと浮上する。 しかし、ウマズラハギの来流群や養殖筏のウマズラハゲは、網や生け簀付近の目視できる位置にもいるから例外であり、この定説は一切通用しない。
 潮流が速い沈み瀬等の真鯛の集まるポイントであれば、長時間真鯛の当りがなくても、根気良くコンスタントにエビを撒いておれば、潮変わしの時間帯になれば、必ず大真鯛の食いが立つものである。たとえ、その日に釣れなくても後日にはいい結果がでる。これが「ふかせ釣り」の特徴だ。
 箸長以下の真鯛が多い時やチダイ群が居付いた場合は、ハリスを3号程度に落として枝鈎を2本から3本出した仕掛けを使用すると効率がいい。この場合、沈下速度を増す為に重りを追加する。
 枝鈎を出す場合の漁師仕掛けのサイズは、主テグスと枝ハリスは同じ3号を使用するが、ハリスの材質は縺れにくいカーボン系のテグスを使用する漁師が多い。枝数は二本とし、その長さは大矢引き(90cm)から一尋(150cm)で、枝の間合いは2.5尋(3.75m)から3尋(4.5m)とする。
 重りが太過ぎると沈下速度が速くなって縦糸と絡むので10号以下がいい。尚、縺れが生じたり、食いが上向いた場合は、枝ハリスを短くするがいい。


イカダ下での真鯛釣り
 魚類の生け簀や真珠養殖場などの筏付近は、吊るした網や生け簀の他に、筏を固定するアンカーブロックの他、縦横に張られたロープなどがある上に、養殖枠等が日差しを遮るので海面から海底にかけての立体的な漁礁といえる。
 養殖場には、大魚の餌となる小魚や甲殻類が無数に寄るだけでなく、定時的に投餌する餌の「こぼれ餌」が生け簀の外に流れ落ちるので食事も付いていることになる。その上、刺し網漁の操業もままならないので、大魚が警戒せずに居付く。
 真鯛やぶり・チダイ・イシダイ・ヒラメ等が定住する諸条件が完全に揃っていることになる。
 当地域の急流域に設置されている「ぶりの養殖場」では、春の乗っ込み鯛の第一波は大真鯛(5sから7s物)であり、その時季もうんと早く2月の始めの一寸春めいた頃である。この大真鯛は、ぶり養殖用の柔らかな冷凍サンマなどの「魚の身餌」でないと食わないことが多い。
 その後の乗っ込み最盛期の真鯛(1s物から3s物)にもこのような現象が度々見られる。これは、ぶりなど全ての魚に共通にみられる現象であるが、小さな餌や柔らかな餌に餌付くと、これより「大きくて硬い」餌には食い附きにくい習性によるものと思われる。
 しかし、これらの大真鯛はエビが嫌いな訳でなく、潮の具合や水温の変化など、なんらかのきっかけでエビ餌に集中的に餌付くので、真鯛の食性の変化には常時油断せずに注意しておく必要がある。
 この投餌に附いた大真鯛を釣るには、投餌用の魚の身を鈎掛けして、生け簀より流れ出る濁り帯に流し込むといい。ここには、ブリや大アジ(800gクラス以上)、大チヌが附いており、このような外道も混ざって漁獲できる。特に秋季には、これら外道の魚影が濃くなり、大真鯛混じりで数十匹のブリやハマチの釣果も珍しくはない。
 生け簀下において、真鯛がエビ餌で安定的に釣れるようになるのは、3月に入って山桜が咲く頃となる。この頃の真鯛は2s前後の個体が主体であり、梅雨入り頃までは多く居る。
 生け簀付近に居る真鯛がエビ餌に餌付く時間帯は、概、早朝から真鯛の食いが始まり、投餌作業が始まるAM10時頃までが最も食いが良くて勝負時間となるが、真鯛の濃い時には昼前まで釣れ続くことも多い。尚、個体数が多い時には、水深50mポイントでも中層まで上昇して入れ食いする。しかし、真鯛が少ない場合は、海底より10m以上は浮上しないこともある。投餌作業が始まると、その「こぼれ餌」に附くから、全般的に投餌が終わる午後まで食いが悪く、日によってはその後も回復しないことがあるものだ。
 逆に、ぶり養殖場での投げ餌時の「魚の身餌でのふかせ釣り」の場合、一般的な真鯛やブリの食いは、投餌作業の開始に合わせて食いが始まり、投餌作業の終了後、餌くずの濁りが完全に去る2時間程が勝負時間となる。
 この時の真鯛の寄る位置は生け簀の潮下側であり、濁りの範囲内で盛んに餌付く。その濁りの中での真鯛やブリの遊泳採餌層は、中層の網尻付近から海面下数mにかけて浮上する。この状態の真鯛は、生け簀に近いほど食いがいいのは当然であるが、潮下でも水平に10m以上離れると極端に食いが落ちる。
 投餌の濁りの中での「身餌を掛けての釣り」では、大真鯛だけでなく大ブリが混獲されるので「丈夫さ優先の仕掛け」とすること。


餌エビの鈎掛け
 鈎に掛けるエビのサイズは、撒き餌にするエビよりは少し大きめがいい。ヒゲや足の切れていない「元気で健全な」個体を選ぶことが釣果につながる。
 エビの鈎付けは、口から入れた鈎先を角の前部中央に少しばかり覗かせる。この際、鈎先で脳を傷つけてエビを殺さぬように注意しなければならない。鈎付けしたエビの姿勢は、自然に泳ぐ状態が最高であり、エビがピンピンと跳ねるようでなければ真鯛は食ってこない。
 これには、鈎の形と曲がりを考慮して「鈎通し角度」を立てる。鈎の種類は、鯛一本釣り鈎が無難であり、鯛縄鈎やひねりのあるチヌ鈎、それに、袖の長い鈎は不適なので使用しない。
 枝鈎を付けた場合、鈎に掛ける餌エビは、主鈎のエビよりは少しばかり小さめのエビを選び、同じように頭掛けにするが、大アジ、イサキ、メバルなど、噛み動作のない雑魚が混ざって漁獲されるようであれば、尻掛けした方が鈎の掛かりがいい。この場合、小型のエビを選んで尻に鈎付けするが、鈎は深く掛けずに腹ヒレの中に鈎先全体を出すがいい。
 付け餌のエビを選ぶ時は、「より柔らかなエビ」を好む真鯛の習性に合わせ、活きのいいシラサエビがあったならば使いたい。通常使用する赤エビより明らかに食い込みがいい。


真鯛の喰いは
 真鯛の当りは千差万別である。一気にひったくるように引き込むものや、“コツコツ”或いは“ゴツゴツ”と「べら」のような食い方をしたり、“じわー”と持ち込む個体も居る。一般的には小型の真鯛程、はっきりした当りをみせる。
 「ふかせ釣り」の“合わせ”のタイミングであるが、この真鯛釣りの方法は、独特な[ふかせ釣り]なので、伸ばし込んでいる途中の仕掛けが一気に持ち込まれることも多い。
このような場合は真鯛がエビを咥えて逃避している状態なので、旱魃を入れずハリス能力一杯に数手の合わせ動作をするがいい。
 大真鯛は、長年を生き抜いた「つわもの」であるから非常に賢く、“チョコン”とエビを咥えたまま静止し、“じいー”として居たりする。“チョコン”又は“ボソー”と来た当りは大物であるから、早合わせはせず、向こうさん(真鯛)が持ち込む(引き込む)まで待つこと。この時の持ち込み(曳き込み)具合であるが、弛んでいた仕掛けが張り、仕掛けを持っている指先に鈍重な感覚が「重さ」として伝わり“ぐぅーー”と加重される。この時が「合わせ」のタイミングとなる。又、大真鯛であることを想定して対処するがいい。
 曳き込む状態の真鯛は向こう(海底)に向いており、ハリスは魚体の左右に振れている状態なので、最も鈎掛かりのいい横唇にがっちりと掛かる。このような大真鯛に対する対応であれば、たとえ、鈎掛かりせずに餌エビを盗られても、この大真鯛は域外には出ずに何れは再度の食いをみせる。
 合わせ動作が早過ぎた場合は、真鯛はまだ上を向いている状態(船の釣り人の方向に)であり、真鯛の口の中から鈎を引き出すことになる。たとえ鈎掛かりしても、上あごの臼歯状の硬い所なので鈎掛かりが浅く、真鯛独特の頭振りや持ち上げ曳きで鈎外れしてしまう。又、真正面に鈎掛かりした場合には丈夫な鈎でも、強烈な咬噛力で、ものの見事に噛み折られてしまう。その上、この大真鯛は仲間の真鯛に危険を警告しながら何処かへ去ることになる。
 真鯛がエビを食う状態は、噛み動作以外はメバルの「食い動作」に似ている。水面に撒かれたエビを目ざとく見つけた真鯛は、エビが一定の水深まで泳ぎ込むまで待ち、可動範囲に来るとエビに近づき、エビが逃避の動きを見せると驚く程のスピードでこれを襲うと聞く。噛み潰したエビを口にすると一瞬静止状態を保ち、その直後には素早く元の遊泳位置に戻るようだ。
 真鯛群の規模が大きく濃密な場合には、多くのエビを撒き餌すると、真鯛が捕食パニックに陥り、可動範囲がうんと広がって船際まで浅く浮上して目視されることも珍しくはない。このような状態の真鯛は食い込みが良く、入れ食い状態が長時間続いて大漁となること請け合いである。


エビの撒き餌の方法<エビの確保と生かし方>
 「ふかせ釣り」は、撒き餌にする「活きた赤エビ」等が大量に確保できなければ成立しない。その量は、多い程真鯛に対する集魚力があるのは当然であるが、少なくても片潮(6時間)に小エビを3リットル程度は欲しい。エビが大きくても差し支えないが、大きい分だけ匹数が少なく、その量が必要となる。
 当地方では早春から梅雨明け頃までが、赤エビ等のエビの最も多い時季に当る。夏にはその殆どが親エビとなって産卵するが、産卵後の親エビの大半は死ぬので「8月のエビ絶え」と鯛釣り漁師が称するようになる。これは、旧暦9月の頃にはエビが少ないとの「たとえ」である。
 孵化したエビは10月には稚エビとなるが、まだ鈎掛けするには小さ過ぎる。しかし、撒き餌に使用するには大きさは必要ないから、混獲される太めのエビを選んで鈎掛けするがいい。
 海面より撒く小エビは、一度に多くを撒かず、少量ずつ撒く回数を多くする。撒く位置も一定とせずに、船の周辺より泳ぎ込ませると、より一層の効果がある。
 撒いた活きのいいエビは、しばらくの間は海面を漂っているが、やがては一転して、後ろ向きに跳ねながら海底に向けて速い泳ぎ込みをみせる。意外と思う程手前に(船下に近く)降下するものである。
 それとは逆に、鈎掛けしたエビは、仕掛け全体が潮流の抵抗を受けるから想像以上の後方に流される。
 撒き餌のエビは、仕掛け近くに沈下する位置に「投げる」ように投入することも一つの方法。
 真鯛は、エビの跳ねる振動や匂いを真鯛独特の敏感な察知力でキャッチし、撒き餌のエビに寄り集まり、エビの姿を見付けて捕食する習性がある。
 老漁師によると、真鯛は、歯音で仲間の真鯛を呼ぶだけでなく、エビを噛み潰す歯音を数百メートルもの遠くから聞きつけて、撒きエビのポイントに数日のうちに寄り集まると言う。
 漁師が言うには、エビの撒き餌に附いた真鯛は、大きな真鯛程、後方(船から遠い位置)に浅く位置し、小型の真鯛程手前深くに居るとのこと。
 漁師の話では、撒き餌にする小エビは、急流域の津久見湾沖、臼杵湾沖などで獲れた赤エビであれば、泳ぎ込みが良くて撒き餌には最適のこと。赤エビが豊富な別府湾や豊前海などの小エビでは真鯛の漁獲量に差がでると言う。
 何故、同じ赤エビで格差がでるのかと、この原因を推測すると、当地の真鯛釣り専門の漁師は餌エビ漁獲のトロール免許を持っており、前記海域において、ふかせ釣り前夜に自船でトロールしてエビを調達する。
餌エビ専門のトロールは小さな網を使用するだけでなく、小エビが衰弱しないように短時間で網揚げする。この為、漁獲された小エビの活きがいいのである。又、水深が数十mと深くて急流域に生息している赤エビなので水圧に対する抵抗力を身に付けているのも、元気な泳ぎ込みをする一因なのであろう。
 一方、別府湾などの小エビの漁獲方法は、エビ等が大量に漁獲される一般底引き網であり、魚類やクラゲ等と混獲されるだけでなく、長時間トロールするから衰弱してしまう。その上、長距離輸送したエビを撒き餌として泳がすのであり、釣果に影響が出るのも仕方ない。
 赤エビ等のエビ類は、長期間生け簀に入れておくと次第に衰弱する。水温が低い冬から春に掛けては、10日程度、夏から秋は水温が高くなるので3日を目安にするがいい。
 船の生け簀は、餌エビ用と漁獲物専用に分け、エビ生け簀には数センチ程度比重の軽い砂を入れておく。
 エビは砂に潜っているから共食いや疲労もなくて状態がいい。間違っても、エビの生け簀にイカ類や魚を一匹でも共に入れてはいけない。イカは貪欲にエビを食し、魚に脅えたエビは疲労困憊し弱ってしまう。又、エビを入れた船の生け簀は酸素不足にならないように、サブタは開けておくが、コイサギ・ササゴイ等に襲撃されない為に魚網を張っておく。
 衰弱した小エビでも、その分多く撒くのも一つの方法であるが、撒き餌籠を使用して真鯛の頭上で撒くことで、ある程度はカバーできる。



撒き餌籠でのエビの投入
 撒き餌のエビは、活きたまま海面に撒くのが一般的であるが、真鯛が浮上しにくい時や餌盗り上手な雑魚が上層に多い場合などの状況により、撒き餌籠を使ってエビを中層で撒くのもいい。尚、撒き餌にする小エビの量が少ない時や、エビが衰弱して泳ぎ込み動作が不十分な場合にも使用に値する。
 ※ 海面から活きたエビを撒いて釣る方が、遥かに釣果が勝る。
 撒き餌籠の形態は、直径8p程のバケツ状とする。その材質は、形状を司る外周だけを針金で作成し、網の部分は海水の抵抗の少ないニクロム線などで編むが、その目合いは撒きエビが洩れない最大目合いとする。
 籠は逆さにして使用する為に、取っ手には沈下力のある重りを付け、網尻には籠専用の太目のヤマを付けておく。
 事前に撒き餌を放出する水深を計測して、その長さにヤマを船に固定しておくと、その位置で自動的に撒きエビが個々散っていくので都合がいい。
 撒きエビを入れた籠は、開口部を海底に向けて一気に投入するが、海水の抵抗を受けて餌エビが逃泳することはない。しかし、沈下途中に籠を止めるとエビが逃げるから要注意。
 籠で餌エビを撒くには、真鯛の遊泳層の上方で「エビが散る」ことが最も効果的である。しかし、その遊泳層は把握できないのが常であるから、真鯛が寄るまでは海底より5尋(7.5m)〜6尋(7m)で撒きエビをする。真鯛が確認され次第、撒く位置を徐々に浅くするがいい。尚、餌盗り雑魚の多い時には、もっと上方でエビを撒くことで解決する。
 小真鯛やチダイが主体の場合は、この撒き餌籠と「片テンビン」や[胴付き仕掛け]が一体化した仕掛けを使用するのもいい。しかし、大真鯛は長年生き延びた「つわもの」であるから、賢くて「片テンビン仕掛け」や[胴付き仕掛け]では食い渋るので、前記の撒き餌専用の撒き餌籠を使用するがいい。
 エビを撒いた撒き餌籠は、そのまま垂下していてはいけない。手早く手繰り揚げておかないと、真鯛を釣り揚げる際に手持ちの仕掛けと絡むことになる。しかし、撒き餌エビの散逸と同時に真鯛の当りが出るのが常であるから、それも難しい。でも、方法はある。電動リールを使用して、スイッチを押せばいいのである。


※アミは絶対に撒かない
 エビ餌での「ふかせ釣り」漁場の近くでは、絶対にアミ類や貝類の撒き餌をしてはならない。貝やアミ類にはウマズラやサンバソウ・マルハゲ・フグ等の雑魚が居着いてしまい、ふかせ釣りの漁師に多大の迷惑をかけることになる。
置き竿釣り
 単独で「ふかせ釣り」する時には、手持ち釣具の障害にならない位置に、仕掛けを付けた置き竿をしておけば、これに釣れる度合いが多いから、効率良く漁獲量を増やすことができる。
 仕掛けは、竿とリールを除けば、全て手持ちの仕掛けと同一でいい。
 竿は丈夫な胴付き竿を使用するが、竿長2.1mから2.7m物で、30号から50号錘持が使い易い。リールには、8号程度の道糸を150メートル以上巻いておき、ハリス能力限界にドラックを締めておく。
 大物が掛かった時に竿を曳き込まれない為には、丈夫な竿止めの設置が必要だが、念の為、竿尻にも「しってロープ」を付けておくと無難。尚、竿に「当りがきた」際、わかるように竿先には鈴を取り付けておくがいい。
 竿釣りの水深は、手持ちの釣具よりも2尋(3m)から3尋(4.5m)浅くするのがコツ。この水深は、手持ち釣具との縺れ防止だけでなく、真鯛の浮上を誘う役目をする。
 竿に来る「真鯛の当り」は、最初に“クッ、クッ”と2〜3回小さな当りを見せるが、これは真鯛が餌エビを噛んだ徴候であり、その際、鈎掛かりしなくても逃げることはない。噛んだ餌エビが少しでも鈎に残っておれば、やがては再度の食いを見せ、鈎掛かりして強く曳きこむ。
 この竿釣りは「絶対に合わせ動作はせず」に、あくまで、そのまま待って「向こう合わせ」とすること。
 鈎掛かりした真鯛は、直ぐに竿を持たなくても、竿の弾力とリールのドラックにより、「バレル」ことは無いので、あわてずに獲り込むがいい。
 2〜3回の当りが来て、その後に魚信がない時は、餌のエビを綺麗に取られているから、直ぐにエビを付け替えて次の当りを待つ。


黒貝での大鯛釣り
(大真鯛・大イシダイ・イシガキダイ・大チヌ・ヘダイ・キビレチヌ)
 黒貝とは通称であって、正式名はムラサキイガイ系のムール貝と思われる。以下「黒貝」と称す。
 真珠養殖場や魚類の生け簀などの筏付近は、吊るし網や生け簀の他に、筏を固定するアンカーブロックや縦横に張られたロープなどがあり、養殖枠や囲い網等が日差しを遮るので、海面から海底にかけての立体的な漁礁を形成している。その上、ロープや生け簀等があるから刺し網漁師の操業もままならない。
 魚達の食事も付いており、天然の餌である黒貝(ムラサキイガイ)の他、小魚や甲殻類は勿論多く、定時には養殖魚に投餌する「こぼれ餌」が流れ落ちるのである。このように魚類が定住する好条件が揃っているから、年間を通して多くの真鯛の他にイシダイ・大チヌ・ぶりやアジ類・ヒラメ等が居ることになる。
 ムール貝の仲間である黒貝(ムラサキイガイ)は、海面直下から2m程度のロープやフロートの他、網や生け簀などのあらゆる垂下物に、隙間なく、びっしりと付着して一年も経つとスプーン大に成長する。太く重く成長した黒貝は波の動揺でロープや生け簀を徐々に傷つけて破損させるだけでなく、フロートや生け簀を沈下させて養殖業者に多大の被害を齎すことさえある。
 養殖場に居ついたイシダイは、1s物〜2s物が通年居るが数十匹を超える群となり、飛び石的に魚類養殖場の他、沈み瀬や漁礁へ移動するので目が離せない。晩春と、盆過ぎから彼岸頃にかけては大型が多く、時には5sから7sもの巨大なイシダイが姿を表すことさえある。
 水温が高くなる盆過ぎからは、南方系の魚であるTsクラスのイシガキダイやキビレチヌも多い。
 これらの大物を釣るには、通常の付け餌でやっても餌盗り上手なサンバソウやウマズラハゲ・マルハゲなどの雑魚に邪魔されて釣りにならない。
 これを避けて大真鯛などに食わせるには、指先程の幼黒貝の中に鈎を隠しての「ふかせ釣り」以外に釣法はない。その魚種も貝類を噛み潰すことのできる真鯛・イシダイ・イシガキダイ・チヌ類等に限定されるのは仕方ない。
 釣り船の係留位置は、取り込み魚の旋回範囲にロープなどの障害物が無いことを確認しておくこと。
 撒き餌には、黒貝・カキなどの貝類であれば、どのような貝でもいい。太いものは潰しながら少量ずつ間断なく投入する。小さなものは貝の房を解きながら船際から撒くといい。
 鈎を隠した状態の貝が、撒き餌の沈下位置に合わなければ、この釣りは成り立たない。この為、丸貝を付けた仕掛けが沈下中の撒き餌のエリアを外れないように重りを適宜取り替えて対処する。
 大物魚の五目釣りなので、ハリスはチヌの食い付く最大限度の4号とするがいい。尚、大真鯛や大イシダイが居付いた徴候があれば、チヌは諦めて、その魚体に合わせた5号から7号のハリスに仕掛けを替えることだ。尚、ハリス上にゴムクッションを付けるのもいいが、合わせ能力はその分低下する。
 ハリス3号を使用してチヌや小型のイシダイを主体に狙うのもいいが、大真鯛や大型のイシダイが食った時には捕れないので、その覚悟はしておこう。
 鈎は、指先程の貝の中に隠匿できるサイズに限定される。鈎先が鋭く丈夫なであることが、この釣りに使う鈎の絶対条件なので、鋼製鯛一本釣り鈎・又は、大きなチヌ鈎の他、8号程度のアジ鈎を使用するがいい。
 付け餌にする小さい黒貝は、直射日光の当らない浮力タンク下などの日陰エリアで採取するがいい。身やハラワタが多く入っている個体を選んで使用するが、日陰の貝は、その甲殻が柔らかくて真鯛やイシダイ・チヌなどの食い込みが抜群にいい。
 黒貝の鈎掛けの方法は、黒貝の髭根付近を、鈎全体が入る程度に「こじ開けて」鈎を隠すが、ハリスは、鈎元を傷めない為に、必ず、髭根付近から出すことだ。
 魚類養殖場や真珠養殖場のチヌは、2sを越す個体も珍しくはない。竿はチヌ専用の短い胴付き竿を使用し、重りは通し鉛の8号から12号を潮流や水深により使い分けるが、小さい程チヌに警戒心を与えないので、潮流の状態を診て対処するがいい。
 重り下のハリスは10cmから15cmと短くして、チヌが引くと通し鉛から出て行くようにしておく。
 鈎は大真鯛や大イシダイ兼用なので、鋼製の鈎でないと不可であり、鯛一本釣り鈎の10号から12号・チヌ鈎の5号以上、又は石鯛鈎を付ける。
 チヌ狙いの場合は、重りは海底に付けてチヌの食いを待つが、大チヌであっても当りは小さく重りが着低した後は目が離せない。極細の穂先に微妙な持ち込みを感じる程度であり、続けて来る二回目の持ち込み時に旱魃を入れずに合わせるのが基本。
 イシダイや真鯛狙いの時には、海底より1mから1.5mで留め置いて食い込みを待つが、チヌに比べると、はっきりとした当りがくる。当りを確認し、竿先に鈍重な持ち込みが確認され次第、合わせ動作をするが、鈎掛かりしない場合は既に貝は噛み潰されて無くなっているので、直ちに引き揚げて再投入する。この間にも、撒き餌は間断なく撒き続けることが釣果を呼ぶ。
 中型イシダイ群が撒き餌に付いた時には、イシダイは捕食パニック状態になっており、雑魚に餌を盗られにくいから胴付き仕掛けに黒貝の身を抜いて鈎掛けするがいい。尚、この場合、イワムシやゴカイにも食い付く。


 
真鯛の獲り込み
 大物が鈎掛かりした際、その曳き込み具合で魚種が特定できる。中層で鈎掛かりした大真鯛は、沖(深い方向)の海底に向けて走る事が多く、海底まで到達すれば一瞬走りが遅くなる。
 手繰りはじめると、ブリやヒラマサなどの青魚のような旋回動作が顕著でなく、一定間隔で“コク、コク”と「頭振り動作=実は泳ぎ込み」や強力な曳き込みをするのが特徴である。尚、引き上げ途中の中層では、時に鈎外れした感覚となるが、これも、真鯛独特な浮上動作の「持ち上げ曳き」である。この場合、素早く対応して手繰り上げないと釣具が緩んで鈎外れする。
 数回のやり取りをすると、真鯛は腹を見せて浮上してくるので、あわてずに手玉を出すがいい。5号ハリスであれば5Kクラスの大真鯛でも、概、数分程度で捕り込みできる。
 ブリ・ヒラマサ・カンパチ等は、釣具を持った手が焼ける程の強烈な曳き込みをする。捕り込みにかかってからも、強烈な曳き込み、旋回を繰り返して容易に寄って来ない。
 船際に揚がっても同じ動作を繰り返すから、船底にハリスを接触させないように注意しながら、魚が衰弱して腹を見せるまで待つ。
 すくい捕る際には、魚の頭部を海面より出して空気を吸わせながら引き寄せると、動きが緩慢になるから、あわてずに手玉を出して、手玉に落とし込む感じですくい捕る。
 4s物クラスのブリの場合、5号のハリスでは、慎重な「やり取り」を繰り返さなければ飛ばされてしまう。捕り込むには数分は覚悟しておこう。
 ブリなどの大魚が引き込む際、手の平や指にテグスが食込み、怪我をすることがあるから、釣りを開始する前に、指ゴムやテープで防御しておくがいい。
 ヒラメの場合は低層で食い付き、大物であれば鈎掛かり当初は根掛かりした状態であるが、海底に向かって数回の曳き込みをみせる。その後は多少の持ち込みはあるものの、素直に「ぼそーとした感じ」で船際まで揚がってくるから、5号ハリスであれば楽に捕り込みできる。
 捕り込み時には、ヒラメを立てた状態で不用意に手玉を出すと、急に水面を跳ねることがあるので注意が必要。必ず、手玉に泳ぎ込ませる感覚ですくい捕ること。
 アラやイシダイ、カンダイなども居る。5号ハリスであれば5s物級の個体は捕り込み可能であるが、これ以上の大物の獲り込みはむずかしい。
 これらの根魚は、低層で食い付き、必ず沈み瀬の方に走るが、青魚のような猛烈な曳き込みではなく、重量感があり、何か「鈍重で!もんもん!とした」ものを感じる。
 根魚が曳くままに伸ばし続けると、沈み瀬や漁礁に持ち込まれて絶対に捕れない。根魚らしい曳きであれは、ハリス能力限界に締めて魚を手前に向かせ、できるだけ引き寄せる以外に方法はない。


スラセについて
 すらせとは、擦らせるの意味であり、仕掛けをたぐり揚げる際に摩擦で仕掛けのヤマやビシテグス・ハリスが傷むことの無いようにした当て具である。釣り船の側辺の「こべり」に取り付けるが、既製品の他に、ステンレスや塩ビパイプ、孟宗竹などを利用する。
 「ふかせ真鯛釣り」の釣行中には、小物の真鯛類の捕り込みと仕掛けの上げ下ろしに利用する。
 大物の取り込み時には、仕掛けを「こべり」に当てたままで、「やりとり」してはならない。腕の弾力を最大限利用しながら、ハリス能力一杯に、手の中で仕掛けを滑らして調整する。




チダイについて
 チダイは大群で居ることが多く、多くの撒き餌をすると中層までに浮上して入れ食い状態となることも珍しくない。このような場合には漁法を替えて、小エビを掛けた「枝三本の胴付き仕掛け」を使用した方が釣具の上げ下げの回転サイクルが速いだけでなく、Wで釣れるから、はるかに効率がいい。
 小型の真鯛をチダイと混同して「ちだい」と呼ぶ釣り人も多いが、チダイと真鯛は種類が違い、居着くポイントと食性意外ではその習性も大きく異なる。
チダイと真鯛の相違点を列記してみよう。
 イカ類もエビが大好物である。撒き餌の活きエビにモイカ・ケンサキイカ・スルメイカ群が餌付いたならば、仕掛けがイカ類の遊泳層の位置まで沈下すると、必ず、付け餌のエビを食い取ってしまう。
 これらのイカ類の当りは大真鯛の食いに酷似しているが、待っても食い込む気配はなく、いくら合わせ動作をしても鈎掛かりはしない。尚、仕掛けを取り込んだ際に、エビ餌の食い傷みをみればイカ類独特の「かじり」があるので簡単に判別できる。
 長時間このような状態が続くようであれば、附けているイカの種類を特定して適応するスッテ仕掛けで釣るのもいい。
 イカ類が居る現実を裏返せば、大真鯛やブリが居ないからイカが餌附くのである。大真鯛やブリが撒いたエビに寄り集まると、ブリや真鯛はイカ類の天敵であるから直ぐに退散する。


放流鯛について
放流や養殖した真鯛は鼻の穴が一つ、天然の真鯛は鼻穴が二つ・・・天然真鯛の尻尾は下部が白い。

 近年では、瀬戸内海各県が真鯛の稚魚を毎年多量に放流しており、その効果は絶大である。漁師によると「ふかせ釣り」で漁獲される小型真鯛の大半は放流稚魚が成長したものであるとのこと。
 放流された真鯛でも、深海で育つので色艶は天然物と大差はないが、体型やヒレの状態が野性的でなく、鼻腔の形が違うので,我々遊漁者でも容易に判別できる。
 豊後水道の真鯛の成長は、他の海域のそれよりは極端に遅く、40cm(1s物)に達するには5年以上の年月を要すると言われ、玄界灘等の日本海側の真鯛や東海地方物に比べると、1年から2年は成長が遅いと聞く。
 専門技師の話では、豊後水道物の真鯛は、他地域の真鯛とDNAが微妙に違うのだそうだ。豊後水道で漁獲される真鯛が最上級の食味だと言うのもうなずける。
 大分県の沿岸に放流する真鯛の稚魚は、DNAの混濁を防ぐ為に、佐賀関で獲れた母鯛から生産されるとのこと。ちなみに、養殖用の稚魚は、成長率のいい近畿地方より移入した母鯛から生まれたものだそうだ。


「ふかせ釣り」で釣れる外道
ハマチ・ブリ
 これらの青魚が大群で撒き餌のエビに附くと、捕食パニックに陥り、大きいエビでも平気で口にする。このような青魚の気配がした場合には、撒き餌の量を増やすだけでなく、丈夫さ優先のハリスに取り替えて「ごぼう抜き的に」取り込むと釣果が増す。尚、当地ではブリ・ハマチは多いが、カンパチとヒラマサの魚影は濃くない。
イサキ・大アジ・メバル
 これらの魚が餌付くことも多い。このような魚種には思い切り撒きエビを多くして、撒き餌効果を出せば大群で浮上してくる。しかし、イサキ・メバル・大アジは神経質であり、ハリスが太いと食い付きが悪いので、真鯛釣り用の4号のハリスではいい釣果は期待できない。至急、対象魚に対する限界能力を考えて、2号又は3号ハリスで仕上げた2本の枝を付けた仕掛けに取り替える。状況によっては、沈下速度を増す為に重りを太くする。
 鈎も小さいものに替えて、できるだけ小エビを選んで鈎掛けする。この際のエビの鈎掛け方法であるが、「噛む動作のない」これらの魚には、頭掛けでは鈎掛かりしないから必ず尻掛けとする。鈎先を尻先から入れてヒレの中に出すがいい。
スズキ
 [ふかせ釣り]では、良く釣れる外道だが、真鯛が深場に引き込むのとは対照的に、直線的に浅く走るから判別できる。


釣り上げ後の処置
 釣り上げた真鯛が、生け簀の中で腹を上にするのは、深海より急に釣り揚げられた為に、水圧調整する浮き袋が機能しないからである。このままで放置しておくと真鯛は死んでしまい、商品価値の無いものになってしまう。漁師は、この状態を「フクがあがった」と表現する。
 この状態を解決するには、この浮き袋を潰せばいい訳であるから、肛門脇よりフクトリ(空気抜き)を下腹側方向きに浅く刺して、この浮き袋を突き破って空気を放出させる。
 この際、空気が抜けずに、やたらに無理をすると真鯛は死んでしまう。どうしても空気が抜けない場合は、魚体の左右にある遊泳ヒレの付け根が薄くなっているので、ここより空気抜き針を浅く入れると抜けることもある。
 どうしても空気が抜けない場合は、魚体の左右にある遊泳ヒレの付け根が薄くなっているので、ここより空気抜き針を浅く入れると抜けることもある。
 もう一つの方法は、フクが揚がった真鯛は潜水病に近い状態に陥っているから、魚体を起す程度の重りを腹下に取り付け、生け簀に入れて海中深くに吊るすといい。
 水圧の変化に弱い魚種は、チダイ・アラ・カサゴ・イトヨリ・アマダイ・メバルなどがある。釣行には、氷を入れたクーラーの持参は欠かせない。水圧に強い魚は、ブリ・ヒラマサ・アジ等の青魚の他にマゴチ・イサキ・ヒラメなどである。
 生け簀に数日間入れておくと、シッポやヒレ、目玉などが、赤白く爛れて商品価値が著しく落ちることが多い。 (漁師はこの状態を「すれる」と表現する。)これは、水圧障害や船上に釣上げられた魚が「もがき,暴れる」際の外傷や内出血の他に、酸欠や船倉内で船壁や魚同士が擦れ合った傷に、細菌や夜光虫などの微生物が附いて起こる現象だと聞く。


トップページ